人に好かれる人間になりなさい。[独り言]

福岡に西島伊三雄さんという有名なグラフィックデザイナーで童画家の方がいました。まだデザイナーが「先生」と呼ばれてた時代の方ですね。既に故人ですが。

この方はデザイン学校の講師もやられてたようですが、私は生徒であったこともないし面識も何もないので、人柄など何も知らないのですが、最近、人づてに聞いて多いに感心したことがあります。

ある生徒さんが西島さんにこう聞いたそうです
「デザイナーになるにはどうすればいいですか?」
こう答えたそうです。
「人に好かれる人間になりなさい。」

私、十代の頃にこれを聞いてたら、たぶん「ケッ、ばっかじゃねーの!何が人に好かれるだよ!」とか思ってたと思います。しかし四十を越えた今聞くとしみじみいい言葉だなあと思いますね。

一般の人は、この仕事、デザイン関係の仕事をやってる人はみんな何か特別な才能があるようにイメージしているかもしれません。正直言って、全然そんなことはないのです。そりゃ、ごくごく一握り、ものすごい才能を持った人はいます。でも、本当にごくごく一部だと思いますね。あとはほとんど凡百の図案屋さんです。これは、どこの世界も一緒でしょう。八百屋や魚屋の天才もいればコンビニの天才的な店長さんもいます。銀行に天才行員だっているはずです。でも、やはりごく一部です。デザイナーにせよ、イラストレーターにせよ、魚屋にせよ凡百な人たちが今日、明日、生きていくとしたら何が必要か・・・といえば結局はその人の「人柄」じゃないか、と私は思います。

あの人はいい人だとか、おもしろいとか、何かほっとけないとか、そういう部分こそが凡百の今日、明日の食いぶちに繋がっていくのです。もちろん、人柄が良ければ仕事は適当でいいという意味ではないです。目の前の仕事には正面からキチンと取り組む、それも含めての人柄ですかね。そして、今日 、明日の食いぶちというのはとても重要です。何でもそうですが、続けるということが何よりも大切なのです。凡人でも毎日続けることで、毎日ひとつずつ「何か」を拾っていきます。毎日ひとつひとつ、そして何年もその何かを拾い上げていくことで、少しずつ仕事に厚みができていきます。ひょっとしたら持ちきれないほど、何かを拾った先に素晴らしい事があるかもしれません ・・・。

天才はこの辺の何かを最初から持ってるか、一気に何百個も手にできます。羨ましいけど、天才じゃないんでしかたありません。こういう事を今更、力説してる私も、ひとつずつ拾う類いの凡百だなあ、としみじみ思います。

──あなたは凡人なんだから、特別な事はやらなくていい。人に好かれてこの世界で生きていく道を考えなさい、そうすれば何とかなるから──

・・・いや、西島さんはこんな突き放したニュアンスで言ったんじゃないかも知れませんけど(笑)仮にそうだとしても逆に愛情ある言葉だと思いますよ。私はそういう風に捉えて感心した──という話でした。

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